物語No.090

三つの倉

年代
年代不明
場所
周智郡森町三倉
現在の名前:周智郡森町三倉
古い名前:三倉村
キーワード
名前の由来, 戦いの話, 助けられた話, ある日の戦さ, 敗走, 三つ並んだ倉, 倉に隠れる, 三倉, 徳川家康, 市外,

物語本文

 周智郡の森町から北へ十キロ、山あいを進んだ先に三倉という所がある。以前は三倉村として独立していたが、昭和三十一年九月森町に合併したが、部落の名はそのまま「三倉」と呼ばれる平和な里である。
 四〇〇年の昔のことであった。
 徳川家康は敵と戦って敗けて、この村に逃げて来た。そしてそこの農家の庭に駈けこんだ。
『頼む。敵が追って来る。どこかに隠して呉れ、早く、早く……』
と、せき込んで頼んだ。
『では、その倉の中にお入りなされ』
 農家の主人はそう言って倉を指した。
 この農家には、同じような白い倉が、三つも並んでいた。その三つの中の一つに、家康は急いで飛び込んで、俵のかげに隠れた。農家の主人は即座の思いつきで、家康の入った倉は戸をあけ、後の倉の戸を閉じておいた。ところで追って来た敵兵は、
『確かにこの家に入ったぞ』
『それ探せ、戸の締まっている倉が怪しいぞ』
と、戸の締っている二つの倉の中に入って、隅から隅まで探したが見出せなかった。
『居ない。戸の締っているのに居ない位なら、開いている倉は見るに及ばない』
と行ってしまった。併し農家の主人は、まだ安心ならないと今度は家康を、開いている倉から、閉っている倉に入れ替えてもらった。するとその通り敵兵は戻って来て、
『開いている倉の中を見なかった。あれが怪しい』
と、その倉に入って見て調べたが、居なので帰ってしまった。
 お陰で家康は助かったので大喜び、
『三つの倉のお陰だ。これからこの村は三倉村とせよ』
と、名付けて行ったという。

参考文献
  • 文献ID: R000
  • 文献名: 家康の愉快な伝説101話
  • 著者: 御手洗清
  • 発行: 遠州伝説研究協会 発行年: 昭和58年2月20日
  • 引用ページ: 252,253
住所
周智郡森町三倉

※この地図のピンの示している場所は、上記の「場所」または「現在の名前」で検索された地点です。
 この地点は、必ずしも物語の舞台となった場所を示しているとは限りません。