物語No.103

池谷の姓

年代
年代不明
場所
榛原郡吉田町
現在の名前:榛原郡吉田町
古い名前:榛原町吉田村
キーワード
名前の由来, 戦いの話, 助けられた話, ある日の戦さ, 敗走, 敵に追われる, 萱に隠れる, 苗字を与える, 吉田村, 徳川家康, 本田忠勝, 市外,

物語本文

 榛原郡榛原町の、合併前の吉田村には、池谷という姓が沢山ある。これは『いけや』と言うのでなくて『いけがや』と読むのであると。
 ある時家康は戦さに敗けて、本多忠勝と二人きりで、大勢の敵に追われて逃げて来た。逃げに逃げては来たが、まだ敵は追って来る。敵は次第に近づいて、今はどうにもならなくなってしまった。と、そこに農夫が一人いた。
『おい、助けてくれ』
 農夫は傍に、萱(かや)の刈ったのが山のように積んであったので、黙ってそれを指差した。敗軍の二人は、急いでその中にもぐり込んだ。
 追って来た敵兵は、その萱の山を見ると、
『これが怪しい』
と、ざくりと槍をつきさした。槍は本多の足にささった。本多はあッと思ったがさすがは忠勝である、着物のはしで槍先を握り、すッと血を拭いてやった。敵は槍に血のついていないのを見ると、
『居ない』
と、そのまま行ってしまった。
 こうして家康は助かった。萱(かや)のおかげである。見ればその向うには、小さな池があった。池と萱。
『有難とう。お礼に苗字をやろう、いけがやと苗字をやる』
 家康は姓をくれて、落ちのびて行ったという。
 如何にも作り話のようだが、伝説として伝えている。

参考文献
  • 文献ID: R000
  • 文献名: 家康の愉快な伝説101話
  • 著者: 御手洗清
  • 発行: 遠州伝説研究協会 発行年: 昭和58年2月20日
  • 引用ページ: 286,287
住所
榛原郡吉田町

※この地図のピンの示している場所は、上記の「場所」または「現在の名前」で検索された地点です。
 この地点は、必ずしも物語の舞台となった場所を示しているとは限りません。