物語No.104

酒井の大太鼓

年代
元亀三年十二月二十二日
場所
浜松市中区元城町100−2
現在の名前:浜松城
古い名前:浜松城
キーワード
戦いの話, 三方原の合戦, 敗走, 城門を開けておく, 太鼓を鳴らす酒井忠次, 警戒する武田軍, 浜松城, 徳川家康, 酒井忠次, 中区,

物語本文

 元亀三年十二月二十二日、徳川家康は、城下の三方原に武田信玄と戦って敗れて、浜松城に逃げ帰った。
 ところが城中へ入るのに、城門兵の頑固さで、家康でさえ困ったので、
『城門は開けておけ。帰るものを、心地よく受け入れよ』
と、城兵に命じて、城門を八文字に開かせた。そして更に、
『敵兵が入って来たら、打ち殺せ。味方の元気を作る為、かがり火をせよ』
と、城内で、えんえんと、大かがり火を燃し初めた。すると家康の重臣酒井忠次は、
『では、一段と元気をつけてやる』
と、城内にあった大太鼓を持ち出して来て、物見矢倉の上で、とうとうと打ち鳴らし出した。
 この城内での大かがり火と大太鼓に、僅かに数百の小勢で追って来た武田の兵は、
『これは何かの仕かけがあるかも――』
と、あえて城中に攻め入るものはなく、お蔭で浜松城は、全滅の災をのがれたのであった。

附記
 この時の酒井忠次の打った大太鼓は、其の後明治初年まで浜松城内にあったが、浜松城の取りこわしと共に、市内の道具屋に売られ、更に磐田市見付に転売されて、今、同市見付町の式内郷社矢奈比賣神社の拝殿に飾られている。
 結婚式の後など、新郎新婦が、今でも打ち鳴らして前途を祝っている。

参考文献
  • 文献ID: R000
  • 文献名: 家康の愉快な伝説101話
  • 著者: 御手洗清
  • 発行: 遠州伝説研究協会 発行年: 昭和58年2月20日
  • 引用ページ: 288,289
住所
浜松市中区元城町100−2

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 この地点は、必ずしも物語の舞台となった場所を示しているとは限りません。