物語No.123

芦に宿るごんげんさま

年代
年代不明
場所
浜松市西区庄内町721
現在の名前:宿蘆寺
古い名前:宿芦寺
キーワード
戦いの話, ある日の戦さ, 敗走, 寝る, 隠れる, 浜名湖, 宿芦寺, 芦, 小舟, 徳川家康, 西区,

物語本文

 今は、むかし。
 ごんげんさまが、いくさに敗けたときの話です。
 追いかけてくる敵からのがれて、浜名湖のほとりまで来ると、あたりはすっかり暗くなっていました。
 その前の夜からひとねむりもしていなかったごんげんさまは、これで安心と思うと、きゅうにねむくなりました。
「しばらくねむりたいが、どこかやすむ所をさがしてくれ。」
 家来にいいつけて、あたりをさがさせましたが、芦がしげっているばかりです。
「どこか、そのへんに。」
 遠くに森が見え、近づくと、山門がそびえていました。
「このお寺で、たのんでみるとしよう。」
 とびらをたたいても、奥ぶかい寺のことです。
 しずまりかえって、もの音ひとつ聞こえません。大声でよんでも、こたえがありません。
「どういたしましょう。」
「いや迷惑をかけてはいけない。そのへんで、よこになることにしよう。」
 そのとき、家来が芦のなかに舟を一そう見つけました。
「これでかまわぬ。」
「もったいのうございます。」
 家来がとめるのもきかず、ごんげんさまは、気がるに芦を分けて舟に乗りました。そして舟のなかでよこになって、ゆっくりねむられたと、つたえています。
 また、そのときの寺の名は、ふしぎにも、芦の宿る寺、つまり宿芦(しゅくろ)寺であったということです。
 宿芦寺は、いまも、庄内(しょうない)町にあります。

参考文献
  • 文献ID: R002
  • 文献名: 浜松の伝説 下
  • 著者: 渥美実
  • 発行: ひくまの出版 発行年: 昭和56年9月
  • 引用ページ: 152,153
住所
浜松市西区庄内町721

※この地図のピンの示している場所は、上記の「場所」または「現在の名前」で検索された地点です。
 この地点は、必ずしも物語の舞台となった場所を示しているとは限りません。


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